学校法人尚絅学院

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【後編】里山再生プロジェクト講演会「里山の恵みを未来につなぐ」開催レポート

2020/03/17

 2020年2月11日(祝)に里山再生プロジェクト主催で開催した「里山の恵みを未来につなぐ」公開講演会の後編レポートをお届けします。

針葉樹で薪をつくり、自動宅配薪システムを構築

 山はいろいろな利用価値がありますが、一つは燃料を供給するという大事な役割があります。でも化石燃料を使うようになったことで薪などの燃料を利用しなくなってきました。これはなぜか。理由は簡単で、灯油などがそこにあるからです。スイッチを押せば電気が使える状態にあるからです。要は、使う環境があるからみんな化石燃料を使うわけです。私の会社では、もう少し薪を買いやすくしようということで13年前くらいから自動宅配サービスを始めました。大体10日間分の薪が入る専用のラックを各家庭に置いて、減ったら補充に伺う、勝手に薪を詰めに行きます。お客さんからすれば、常に使える薪が最低限家に確保できる、安心して使えるという仕組みです。化石燃料に対抗しようとは思いませんが、薪ももっと使いやすくしないと利用者が増えないのではないかと思って始めたサービスです。今、仙台市および周辺エリアで300軒弱の契約があり、薪を供給しています。私は長野県から来ましたが、長野県を中心に、山梨県、仙台地区を含め会社全体で1800軒くらいの契約家庭あります。
  薪の生産現場が全国に25カ所ぐらいありますが、その半分くらいが福祉施設です。我々が木の調達をして、障害をもった人たちが毎日薪づくりをしてそれを会社が買い取り、地域に配ります。そうして福祉との連携を進めています。薪の利用を阻む課題として、針葉樹は駄目で広葉樹でないと薪としてつくってはいけないという話がありますが、長野県などは広葉樹が非常に少なくてアカマツとかカラマツの針葉樹の薪が多いです。宅配サービスで配っているのはほとんどが針葉樹です。薪というのは燃料なのでどんな木でもいいわけです。その意味ではすべての森が山として価値があると思います。そして、薪だけでは面白くないので、薪プラス山のいろいろな活用方法を考えるのがいいのではないかでしょうか。山はどういうふうに活用するかが決まらないと、どうしていくかが決まらない。例えば子どもが遊びに来て気持ちいい山、森にしたいと思ったら、どんな山や森にしていったらいいかが見えてきます。そこから動物のことも考える、他のことも多面的に考えると、どういう伐採をすればいいのか、動物と共生するにはどうするかなどが見えてくる。目標を決めて、そこからは技術、知恵だと思います。

パネルディスカッション:(株)DLD 木平 英一 氏

パネルディスカッション:(株)DLD 木平 英一 氏

五感を研ぎ澄ませ、体を動かす

 私は名取市で生まれ育ち、尚絅短期大学英文科を卒業後、フィットネスインストラクターとして民間のスポーツクラブや行政、団体で活動していました。今、体力・運動機会の二極化と言われています。地域に密着して、なかなか運動する機会がないという方が参加できるようなスポーツクラブがあってもいいのではないかと思い、2015年に法人を設立しました。子連れでも参加できるような成人のプログラム、ヨガ、ピラティス、そしてストレス解消になるようなボクシングやズンバといった教室を開催しています。体力・運動機会の二極化については子どもに関してよく言われています。子どもには、スポーツというのはとにかく「走る」とか「投げる」とかがキツイというイメージがあるかもしれませんが、尚絅さんの里山で去年の8月に、子どもたちが自然の中で体を動かす機会をつくり、親子、または子どもたちが参加しました。五感を高めるようなストレッチをしたり、森を親子で一緒に歩いて暮らしの近くにこんなに山があることを実感したりしました。ペアになってバンダナで目隠しをして五感を頼りに森を歩くこともしましたが、子どもたちは足の裏を慎重に使い、耳を研ぎ澄ませながら、怖いと言いながらもだんだん慣れて楽しみながら歩いていました。結構急な坂での駆けっこでは、幼稚園から小学校6年生までの子どもたち誰一人転ぶ子がいませんでした。普段、駆けっこ競争を芝生で行っていますが、その時にはちょっと寝たりとか、何か触れたりすると痛いとか嫌だという子どもが、尚絅の森に入って汚れても気にしないで、木にも自然に触ってみたりだとか、環境というのはとても大事なのだとしみじみ感じました。また普段、躓いている子どもたちが全然躓かずに走っていたことにスタッフもびっくりしました。
 今は保護者の方も含め、ぶつからないように、ということで先に先に動きを止めてしまうことが多いですが、子どもが自分の体で経験して、危ないと思った時にしっかりと自分の体を使える、それは五感を使えことでより研ぎ澄まされていくと思うので、尚絅の森のような自然の中で体を動かすことで、五感がどんどん研ぎ澄まされて目覚め、ケガの予防、危険回避につながっていくのではないかと思っています。体が変われば心も変わる、体が変わると心もほぐれると言われています。自然の中で呼吸をすると、普段とは全然違う感覚を味わえます。今後も自分たちでいろいろなところに出向いたり、皆さんに来ていただきながら、このような活動を続けていきたいと思っています。

パネルディスカッション(一社)ボディジャンプ 西間木由美 氏

パネルディスカッション(一社)ボディジャンプ 西間木由美 氏

 講演会後には、牡鹿半島で増えすぎたために駆除された鹿肉を使ったスープを味わいながら参加者同士の交流を深め、最後に里山宣言「尚絅の森へ行って 学んで 行動しよう!」を発表して終了しました。

小野寺さんの鹿肉と名取セリ農家・三浦さんのセリを使ったスープ

小野寺さんの鹿肉と名取セリ農家・三浦さんのセリを使ったスープ

 


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