伝統と進化――創立132年を迎えて
学校法人 尚絅学院
理事長・学院長 佐藤 司郎
学校法人尚絅学院は2024年創立132年目を迎えました。幼稚園から、中学・高校、大学、そして大学院までを擁する伝統ある教育機関として歩みを続けています。
尚絅学院はもともと、プロテスタントの教派として仙台でもっとも早く伝道を開始したアメリカのバプテスト派の宣教の中で誕生しました。始まりは、1892(明治25)年、女性宣教師ラヴィニア・ミード(1860-1941)によって開設された家塾「尚絅女学会」です。
振り返ってみると、尚絅学院は、キリスト教主義学校として二度の大きな危機をくぐり抜けてきたといってよいかも知れません。一つは、昔のことですが、「尚絅女学校」の設立許可が下りた1899(明治32)年です(その年の11月24日を創立記念日としています)。この年「文部省訓令第十二号」が発令され、キリスト教諸学校は宗教教育、宗教行事の一切を禁じられ、危機に直面したのです。尚絅学院は、キリスト教教育を守るという選択をし、「各種学校」に格下げされることも甘んじて受け入れました。回復まで10年を要しました。もう一つは、戦争の時代、第二次大戦です。これについてここで詳細はふれませんが、私ども、歴史の主の奇しき恵みと導きに感謝せざるをえません。
戦後、尚絅学院は新しく出発します。新制の中学・高校ができ、1950(昭和25)年に英語科・家政科をもつ短期大学がつくられます。そこに保育科が開設されたのは1955(昭和30)年、幼稚園の設置は1956(昭和31)年です。そして2003(平成15)年には、現在の名取市ゆりが丘の地に、4年制の尚絅学院大学が新たに開学されました。今年で21年目を迎えています。従来の学部・学科制を、学群・学類制に代え、豊かな学びを実現しています。
まさに「伝統と進化」と言われるべきでしょう。伝統というのは、たんなる過去のことではありません。つねにどこかに現在しているものです。キリスト教精神に基づく人格教育、これは「建学の精神」として連綿として受け継がれていますし、「家塾」として始まったことも、ていねいな少人数教育としていまに生きています。初代校長のアニー・ブゼル(1866-1936仙台で没)の「信仰と奉仕の精神」、第2代校長メリー・D・ジェッシー(1883-1968)の「平和のための知育」は継承され、むしろ進化・発展を遂げています。
現代社会はうねりのように変化しています。尚絅学院はこうした時代の流れを見つめながら、キリスト教の伝統を大切にし、これを生きたものとして展開し、すぐれた人材を世に送り出したいと願っています。皆様方の熱いご支援と祈りを切にお願いいたします。
佐藤 司郎 プロフィール
- 生年月日
- 1946年11月17日
- 最終学歴
- 東北大学文学部卒業(倫理学専攻)
東北大学大学院文学研究科修士課程修了(実践哲学専攻)
東京神学大学大学院神学研究科修士課程修了(組織神学専攻) - 学位
- 博士(文学) 東北大学
- 経歴
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1980年4月 日本基督教団大洲教会牧師 1987年9月 日本基督教団信濃町教会牧師 1998年4月 東北学院大学文学部キリスト教学科教授(改組により2011年から総合人文学科教授)
組織神学担当2018年4月 日本基督教団仙台北三番丁教会牧師 2023年1月 学校法人尚絅学院 学院長に就任 2024年4月 学校法人尚絅学院 理事長に就任 - 著書
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- 『新しい言葉をもって』(1996年)
- 『生ける主に従う――教会の神学を求めて』(1999年)
- 『われは教会を信ず』(2011年)
- 『カール・バルトの教会論――旅する神の民』(2015年)
- 『カール・バルトとエキュメニズム―― 一つなる教会への途』(2019年)
以上、新教出版社
- 共編著
- 『福音とは何か――聖書の福音から福音主義へ』(2018年 教文館)